6.2.12 ConstantLocalization

6.2.12.1 ノードの概要

一定の音源定位結果を出力し続けるノード. パラメータは,ANGLES, ELEVATIONS, POWER, MIN_ID であり, それぞれに音源が到来する方位角(ANGLES),仰角(ELEVATIONS), パワー(POWER),音源番号(MIN_ID)を設定する. 各パラメータは Vector なので, 複数の定位結果を出力させることも可能である.

6.2.12.2 必要なファイル

無し.

6.2.12.3 使用方法

どんなときに使うのか

音源定位結果が既知の場合の評価をするときに用いる. 例えば,音源分離の処理結果を評価する場合に,分離処理に問題があるのか, 音源定位誤差に問題があるのかを判断したいときや,音源定位を同じ条件にした 状態での音源分離の性能評価をしたい場合など.

典型的な接続例

6.28 , 6.29に接続例を示す. このネットワークでは,一定の定位結果をIterate のノードパラメータに設定し た回数だけ表示する.

\includegraphics[width=.8\textwidth ]{fig/modules/ConstantLocalization}
Figure 6.28: ConstantLocalization の接続例: LOOP0 の内部

\includegraphics[width=.4\textwidth ]{fig/modules/ConstantLocalization-2}
Figure 6.29: ConstantLocalization の接続例: MAIN

6.2.12.4 ノードの入出力とプロパティ

入力

無し.

出力

SOURCES

: Vector< ObjectRef > 型.固定の音源定位結果を出力する. ObjectRef が参照するのは, Source 型のデータである.

パラメータ

Table 6.29: ConstantLocalization のパラメータ表

パラメータ名

デフォルト値

単位

説明

ANGLES

Object 

<Vector<float> >

[deg]

音源の方位角(左右の向き)

ELEVATIONS

Object 

<Vector<float> >

[deg]

音源の仰角(上下の向き)

POWER

Object 

<Vector<float> >

[dB]

音源のパワー

MIN_ID

int 

0

 

音源番号

ANGLES

: Vector< float > 型. 音源が到来している方向の,方位角(左右)を表す. 角度の単位は degree.

ELEVATIONS

: Vector< float > 型. 音源が到来している方向の,仰角(上下)を表す. 角度の単位は degree.

POWER

: Vector< float > 型. 到来音源のパワーを指定する. LocalizeMUSIC が算出する空間スペクトルと同じ次元であり,単位は [dB]. 指定しない場合は自動的に 1.0[dB] が代入される.

MIN_ID

: int 型. 各音源に割り振られる最小音源番号を表す. 各音源は後段処理で異なる音源と識別されるよう,音源番号はユニークである必要がある. 音源番号は ANGLES と ELEVATIONS で指定した第一成分から MIN_ID を最小番号として順に割り振られる. 例えば MIN_ID = 0 とし,ANGLES = <Vector<float> 0 30> とした場合,0度方向の音源には0番が,30度方向の音源には1番が振られる.

6.2.12.5 ノードの詳細

音源数を$N$,$i$番目の音源の方位角 (ANGLE) を$a_ i$,仰角 (ELEVATION) を$e_ i$とする. このとき,パラメータは以下のように記述する.

ANGLES:

<Vector<float> $a_1$ $\dots $ $a_ N$ > 

ELEVATIONS:

<Vector<float> $e_1$ $\dots $ $e_ N$ > 

このように,入力は極座標系で行うが, 実際に ConstantLocalization が出力するのは, 単位球上の点に対応する,直交座標系の値 $(x_ i, y_ i, z_ i)$ である. 極座標系から直交座標系への変換は,以下の式に基づいて行う.

  $\displaystyle x_ i $ $\displaystyle = $ $\displaystyle \cos ( a_ i \pi / 180 ) \cos ( e_ i \pi / 180 ) $   (5)
  $\displaystyle y_ i $ $\displaystyle = $ $\displaystyle \sin ( a_ i \pi / 180 ) \cos ( e_ i \pi / 180 ) $   (6)
  $\displaystyle z_ i $ $\displaystyle = $ $\displaystyle \sin ( e_ i \pi / 180 ) $   (7)

なお, 音源の座標の他に, ConstantLocalization は 音源のパワー (POWERで指定.未指定で$1.0$を自動的に代入) と音源番号 (MIN_ID + $i$)も出力する.