6.1.4 SaveWavePCM

6.1.4.1 ノードの概要

時間領域の音声データをファイルに保存する.SaveRawPCM ノードとの違いは, 出力されるのがヘッダーを持つ WAVE 形式のファイルである点である.そのため, 例えば audacity や wavesurfer などで読み込む際に簡単である.また,ファイルを AudioStreamFromWave ノードで開きたい場合は,この SaveWavePCM で保存する.

6.1.4.2 必要なファイル

無し.

6.1.4.3 使用方法

どんなときに使うのか

SaveRawPCM ノードと同様に,分離音を聞いてみたい場合や,多チャンネルの 音声データ録音を行う場合に用いる.

典型的な接続例

使い方は,サンプリング周波数をパラメータとして指定する必要がある以外は SaveRawPCM ノードと同じである. 図6.86.9 の例において SaveRawPCM ノードを SaveWavePCM ノードに入れ替えて使うことができる.

6.1.4.4 ノードの入出力とプロパティ

Table 6.5: SaveWavePCM のパラメータ表

パラメータ名

デフォルト値

単位

説明

BASENAME

string 

sep_

 

保存するファイル名のプレフィックス.

ADVANCE

int 

160

[pt]

ファイルに保存する音声波形の分析フレームのシフト長.

SAMPLING_RATE

int 

16000

[Hz]

サンプリング周波数.ヘッダを作成するために使用する.

BITS

string 

int16

[bit]

ファイルに保存する音声波形の量子化ビット数.

       

int16 または int24 を指定可.

入力

INPUT

: Map<int, ObjectRef> または Matrix<float> 型.前者は分離音など,音源 ID と音声データの 構造体,後者は多チャネルの音声データ行列.

出力

OUTPUT

: Map<int, ObjectRef> または Matrix<float> 型.入力と同じものが出力される.

パラメータ

BASENAME

: string 型.デフォルトは sep_.ファイル名のプレフィックスを指定する. 出力されるファイル名は,音源 ID が付いている場合は “BASENAME_ID.wav” となる. 3つの混合音を分離した結果の分離音のファイル名は,BASENAME が sep_ のとき, sep_0.wav,sep_1.wav,sep_2.wav などとなる.

ADVANCE

: int 型.他のノードの ADVANCE の値と揃える必要がある.

SAMPLING_RATE

: int 型.他のノードの SAMPLING_RATE の値と揃える必要がある. この値はヘッダに書き込むために用いられるだけであり,このパラメータを変更してもA/D 変換 におけるサンプリングレートを変更することはできない.

BITS

: string 型.ファイルに保存する音声波形の量子化ビット数.int16 または int24 を指定可.

6.1.4.5 ノードの詳細

保存されるファイルのフォーマット: 保存されるファイルは,ヘッダ情報を持つ WAVE ファイルとして記録される. したがって,ファイルを読む際には,特にサンプリング周波数とトラック数, 量子化ビット数を指定しなくてもよい.

また,入力の型によって書き出されるファイルは次のように異なる.

Matrix<float> 型

このとき書き出されるファイルは,入力の行の数だけチャネルを持った 多チャネル音声データを含む WAVE ファイルとなる.

Map<int, ObjectRef> 型

このとき書き出されるファイルは, BASENAME の後に ID 番号が付与されたファイル名で, 各 ID ごとにモノラル音声データが書き出される (1 つのファイルには 1 つの ID に対応する音声データのみ).